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人間の感性からデザインする室内緑化
愛媛大学農学部 緑化環境工学研究室

教授 仁科弘重



農学部の研究室説明によると緑化感性工学研究室(現緑化環境工学研究室)は、「環境制御学を基礎として、緑化された環境における人間の感性及び、感性も考慮した緑化デザインについての教育・研究を行う」と定義されている。 これを一言で言うと、「グリーンアメニティ(green amenity)」ということになる。

それでは、 「グリーンアメニティ」とは何か?


最近は、オフィス・アトリウム・家庭などで、快適環境の創出を目的として植物(主に観葉植物)を配置することが多くなったが、このように室内に直物を配置して人間の快適性を向上させることが、「グリーンアメニティ」である。


グリーンアメニティの具体的な効果としては、


1.植物の蒸発によって室内の温度が上昇し温熱快適性が向上する効果

2.植物(花・香りも含む)の存在によって人間の心理・生理が変化する効果

3.植物を見ることによって視覚疲労が緩和・回復する効果

4.植物が室内の有害ガスを吸収・吸着する効果などがある。


グリーンアメニティの心理的効果評価のための
観葉植物イメージデータベースの構築


室内に植物を配置して人間の快適性を向上させることは、グリーンアメニティと呼ばれている。

そのうちの一つである心理的効果を評価するために必要な「観葉植物のイメージデータベース」を構築するために、被験者の年齢別、季節別(夏季・冬期)にアンケート調査を行った。

方法

学生を被験者としてアンケート調査は2000年7月と12月に愛媛大学農学部で、また、社会人を被験者としたアンケート調査は8月と12月に三浦工業(株)で行った。

観葉植物の印象の評価は、実際に植物を見てもらい、7段階の形容詞対21対からなるアンケート用紙に記入を求めた。

評価した観葉植物は、斑入りポトス、シュロチク、コンシンナ、ベンジャミン、パキラ、アレカヤシ、マッサンギアナ、アケボノクロトン、ユッカ、カポック(斑入りと斑入りなし)、ゴールドクレスト、パキラを模したイミテーションプランツである。

なお、イミテーションプランツは夏季のみ、ゴールドクレストは冬期のみ用いた。

■社会人を45歳以下と46歳以上の2つのグループに分け、男女も含めて6つのグループについて、アンケート結果を因子分析した。

■シュロチクは、夏季にはプラスの評価を、冬期にはマイナスの評価を、受けており、夏季の利用に適しているといえる。

また、夏季に最も高く評価されたのはベンジャミンで、冬期はゴールドクレストであった。


観葉植物の光合成・呼吸の測定と観葉植物が
室内のC02・O2環境に及ぼす影響の解析


人間が居住する室内に植物を配置すると、人間と植物がともに呼吸をしている状況が生じる。

すなわち、昼間はCO2を吸収している植物も、夜間は人間と同様にO2を吸収しCO2を放出する。

そこで今回は、観葉植物が室内のCO2・O2環境に及ぼす影響を、観葉植物の光合成・呼吸速度からの実測によって解析した。

 

■実験は、12月から2月までの冬に行った。

観葉植物は、マッサンギアナ、カポック、ゴールドクレスト、ベンジャミン、ポトスの5種類で、高さ100cm前後のものを3鉢ずつ使用。室内には、同じ種類の観葉植物を1鉢ずつ入れたアクリル製のチャンバ3つと測定・制御システムを配置した。

実験条件は、気温3条件、照度3条件、CO2初期濃度2条件の計18条件とした。
測定項目は、室内およびチャンバ内の温度、湿度、CO2濃度とした。20℃で0lxと5000lxの場合の各植物のCO2吸収速度を表1に示す。

0lxにおけるCO2放出速度は、700ppmの場合が3000ppmの場合より大きい。

なお、5000lxにおけるCO2吸収速度は、0lxにおける放出速度に比べて1桁大きいことから、窓際に置いた観葉植物が昼間の室内のCO2・O2環境を改善する可能性が示された。




観葉植物を見ることがVDT作業に伴う
視覚疲労・回復に及ぼす影響


近年、あらゆる分野でパソコンやワープロは必要不可欠なものとなり、VDT作業が増加している。

これに伴い、長時間のVDT作業による目の疲れ、視力低下、ドライアイ、肩・腕・腰の痛み、精神疲労などのテクノストレスが、社会的問題となっている。

 

■実験は、1~3月に行った。

実験内容として次の2つを行った。実験「1」では、VDT作業中に観葉植物を見ることによって得られる視覚疲労の緩和について解析。実験「2」では、VDT作業後に観葉植物を見ることによる視覚疲労の回復について解析した。

被験者は、実験「1」、実験「2」ともに4人までとして、フリッカー値の測定には、フリッカー値測定器を使用。VDT作業は、マウスだけを用いるパソコン作業とした。

実験「1」では、3時間のVDT作業中、30分ごとに5分間観葉植物を見た場合と観葉植物以外のものを見た場合のそれぞれについて、フリッカー値の測定を行った。
実験「2」では、2時間のVDT作業後に、観葉植物を見る場合と観葉植物以外のものを見る場合のそれぞれについて、フリッカー値の測定を行った。観葉植物には、カポック、マッサンギアナ、ゴールドクレストの3種類を組み合わせて用いた。

●VDT作業中に植物を見ることによって、視覚疲労が緩和され、回復することが分かった。

植物の蒸散によって室内温度が上昇し、
温熱快適性が向上する効果


温熱環境調節・快適性向上効果は、植物の蒸散によって室内の湿度が上昇し、温熱快適性が向上する効果で「特に冬期には」湿度を乾燥状態の30%から快適範囲の50~60%に上昇させることができる。


観葉植物が室内の温熱環境・快適性に及ぼす影響の解析

実験は、愛媛大学農学部本館3階の南向きの2つの部屋(大きさは同じで、奥行5.9m、間口3.4m)で行った。

窓は南側で、床面から高さ0.8mより上であり、窓ガラスは透明普通ガラスである。また、実験時の部屋の隙間換気は、換気回数で約0.7回/hであった。
観葉植物は、蒸散の盛んなカポックと、ほとんど蒸散しないマッサンギアナを用いた。
鉢を含む高さは2種類とも約1.8mであった。
カポックは1部屋当たり6鉢、マッサンギアナは1部屋当たり5鉢を配置した。


カポックを窓際に1列配置し、
もう一方の部屋には植物を配置しない場合の実験結果


絶対湿度は、昼間、植物を配置している方は上昇しているが、植物を配置していない方はほとんど変化していない13時には、植物を配置している方が0.0044kg/kgも高くなっている。

相対湿度は、昼間、植物を配置している方は上昇するが、植物を配置していない方は、気温の上昇のために低下している。

10~17時には、植物を配置している方が、約20%も高くなっている。カポックの蒸発散量は、日射量の変化とほぼ同じ変化を示し、373g/(鉢・日)であった。


カポックを窓際に一列配置し、もう一方の部屋にはマッサンギアナを窓際に一列配置した場合の実験結果


マッサンギアナの蒸発散量は、99g/(鉢・日)で、窓際に一列配置したカポックの4分の1であった。
絶対湿度は、昼間、カポックの方は大きく上昇し、14時にはカポックの方が0.0027kg/kgも高くなっている。
相対湿度は、昼間、カポックの方は上昇し、マッサンギアナの方は低下しており、14時にはカポックの方が約20%も高くなっている。
湿度の上昇効果を期待するのであれば、カポックの方が有効であると考えられる。





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